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2008年7月20日 (日)

エンニオ・カヴァッリ 『半過去の喪』

Ennio_cavalli

エンニオ・カヴァッリの新詩集L’imperfetto del lutto (Aragno, pp.146, 14ユーロ)が出版された(7月19日、コッリエーレ・デッラ・セーラ)。

「さあ、この半過去を使おう、/本当に愉快であるように/僕も死んだことにしよう/僕らはまだいることにしよう/新たに生きる遊びをしよう/ほらお前に倒れかかるぞ」。

エンニオ・カヴァッリは、パートナーのパオラ・マラヴァージ(彼女も詩人だった)の突然の早すぎる死(2005年)を皮肉をこめて、喪の作業を念入りにしている。

嘆いてばかりはいられないし、止まってもいられない。詩人は反発する。本が証明するように、半過去を用いて、へたくそな反発もする。(imperfetto は不完全といういう意味だが、文法用語としては、半過去で、過去のある状態をしめす。近過去が動作の終了をしめすのに対し、半過去はある時点で、~していたという状態を示す)。

おのおのの詩は、喪失、幸福感の瞬間をしめすが、つねに辛辣さに支えられている。

悪魔払い。反発。他の女性と出かける、肉にふれつつ、慰めにならぬ言葉を読みながら、盾で身を守るように。こんな具合だ。細部は、愛する人のイメージ、立ち居振る舞いを生きなおすが、すぐにまた必然的に暗くなる。屈服しないための一言はきつい。「お前がいなくなってから, 行間には炎の風が吹く」(Da quando non ci sei, un vento tra le righe soffia fuoco. こうした言葉を省略した愛の宣言は、記憶の責め苦をやわらげていく。

詩人は、なすべきことに、気をまぎらわす。パオラはそこにいて、彼は新たなオルフェオのように放浪する。「振り向くな、オルフェオ、前を見ろ、/ そうだ、彼女はお前をさがしている、/ 霊たちのなかでもっとも光輝く霊だ」(non voltati, Orfeo, guarda avanti,/ Si’, sara’ lei a cercarti, l’ombra tra le ombre con piu’ luce)。真実の、苦悩を持って生きられ、何かを待つ物語である。が、ここで止めておこう。謎があるのだ。自己憐憫に陥るのはたやすかったはずだが、カヴァッリは、悲哀を、生命の尊さを認識することによって、抵抗力へと変えている。これも、愛なのだ。本当の愛であり、終わりはない。

(評者:オッタヴィオ・ロッサーニ)

(お断り:コッリエーレ・デッラ・セーラの記事は原則としてすべて署名記事です。これまで、記者名、筆者名を省略していましたが、書評や映画評、音楽評など文化欄の記事は、評者、筆者の名を記した方がよいと考え直し、これからは文化欄の記事に限って、筆者の名を記す方針です)。

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