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2008年6月26日 (木)

オルランディ事件に新たな証言

Marcinkus

1983年に教皇庁職員の娘が誘拐された事件に関し、新たな証言が出て、マルチンクス大司教の関与が疑われている(6月24日、コッリエーレ・デッラ・セーラ)。

この事件は、エマヌエーラ・オルランディという当時15歳の少女が誘拐された事件。彼女は教皇庁の職員の娘であった。その犯罪には、アメリカ人の大司教ポール・マルチンクスの影が差している。

マルチンクス大司教は、2006年に死去しているが、長年ヴァティカンの金融機関IORの最高責任者であった。IORは、アンブロジャーノ銀行の破産に関与している。

今回新たな証言をしたのは、ブルーノ・ジョルダーノの元妻で、その後、ローマの犯罪組織バンダ・デッラ・マリアーナの大ボスの愛人となったサブリーナ・ミナルディである。

彼女によれば、オルランディの誘拐を命じたのはマルチンクスであるという。

ブルーノ・ジョルダーノはラツィオやナポリでアタッカンテとして活躍したサッカー選手。彼と今回の証言者であるサブリーナ・ミナルディは1979年に結婚したが、やがてサブリーナは、ローマの犯罪組織の大ボスエンリーコ・デ・ペディス(レナティーノ)と親しくなり、結婚は破綻する。

ヨハネ・パオロ2世は長年、マルチンクスを庇護していた。マルチンクスには多くの謎や疑惑がつきまとっていたのである。1989年に、ヨハネ・パオロ2世は、マルチンクスをアリゾナの砂漠の町、サン・シティーに送り出す。マルチンクスは、すべての人にとって「神の銀行家」であった。彼は1971年から1989年までIOR(l'Istituto per le opere di religione, ヴァティカンの金融組織)を絶対的に支配していた。アンブロジャーノ銀行の破綻のあとも支配を続けており、イタリアの司法当局は彼の逮捕を請求したが、拒絶された。

新証言者の愛人であった大ボスレナティーノは、ヴァティカンと気脈を通じており、マルチンクスはそれを利用して、オルランディを誘拐したというのが、証言者の言うところである。

ロベルト・カルヴィ(アンブロジャーノ銀行の頭取で、ロンドンで首吊り状態で発見されたが、他殺の可能性が高いとされている)事件の予審を担当したオテッロ・ルパッキーニ判事によれば、枠組みは次のようなものであろうとのこと。マフィアがロベルト・カルヴィの無謀な作戦に投資をした。カルヴィはロンドンで1982年に死んだ。金は請求できなくなってしまった。そこで、犯罪組織の側は、ヴァティカンの職員の娘を誘拐したか、その事件を演出することにしたと考えられる。

ヴァティカンは、マルチンクスが指揮するIORを通じて、多額の資金をアンブロジャーノ銀行に投資していた。この誘拐は、マフィアの側の、金を脅し取る作戦だったのかもしれない。

大ボスのレナティーノは死後、サンタポリナーレというバジリカに埋葬されている件については、ルパッキーニ判事は、この埋葬は象徴的なものだという。教会の人間と悪の道の人間の間で、協定(手打ち)がなされたということと考えられる。

ルパッキーニ判事は、オルランディ誘拐事件はマフィアの側が投資資金を回収するために仕掛けたものであり、マルチンクスが仕掛け人という考え方には懐疑的である。

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コメント

人相に出るね。こいつがヨハネパウロ1世をやったのはほぼ間違いないでしょう

投稿: 彷徨人 | 2015年7月 4日 (土) 11時10分

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