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2008年6月19日 (木)

第14回国際・詩のフェスティヴァル(3)

Finisterre ジェノヴァで第14回国際・詩のフェスティヴァルが開催されているが、6月16日にはジョイスの『ユリシーズ』の一風変わった朗読会があった(14 Festival Internazionale di Poesia, 6月12日ー21日、ジェノヴァ)。

『ユリシーズ』は、詩ではなくて、ジェイムス・ジョイスというアイルランドの小説家が1922年に発表した長編小説で、20世紀の最も有名な小説の一つである。

この小説の一大特徴は、1904年6月16日から翌日にかけてのたった1日のダブリンでの出来事を数百ページにわたって書いているということだ。

小説は18章にわかれている。これを18の時間、18の場所(厳密には、同じ場所を2回使っていることがあるので16カ所)で、朗読したのである。18の時間というのは、1章は朝の9時開始、2章は10時開始という具合なのだが、この小説主人公がスティーヴン・ディーダラスとレオポルド・ブルームと2人いて(レオポルドの妻モリーも重要な登場人物)、9時、10時、11時は2カ所で、スティーヴンの部分と、ブルームの部分が、同時並行で朗読されている。ただし、使用されているのはイタリア語の翻訳。朗読者が、例外的に英語圏出身の場合は、英語版に切り替わっていた。

各章の朗読は1時間以内に終わるとは限らないので、全部の朗読を聞くことは理論的に不可能なのだが、自分の好きなところを聞けばよいのである。

場所も、小説の内容と照応したところが選ばれていて、食事の場面はレストランで朗読、ブルームが新聞社にいくところは書店での朗読という具合になっている。もちろん、ジェノヴァはダブリンではないし、観客の移動の都合も考え、徒歩で移動できる範囲内に場所はちりばめられている。

最終章モリーの独白(就寝前の自由な、時にエロティックな、意識の流れを描いたもので、句読点が無い)は、5人の女性が交代で読んだ。5人それぞれのモリー像が現出するわけで、演劇の舞台ほどではないにせよ、しかし生々しく人物像がこちらに迫ってくる。

ブルームのもつ飄々としたユーモアなども朗読者によっては、如実に感じられ、こういった試みの有効性を強く感じた。

朗読者は、たとえば、大学の時に演劇クラブにいて、その後、ジャーナリストになり、今は年金生活者(彼のブルームは秀逸であった)、詩人、現役の学生と、年齢、性別、職種さまざまである。

最終章の朗読が終わったのは、午前1時半であった。

このマラソン朗読会を企画したのは、ジェノヴァ大学教授のマッシモ・バチガルーポ(Massimo Bacigalupo)である。

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