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2008年5月28日 (水)

アッティリオ・ベルトルッチ

Casa_del_poeta 詩人アッティリオ・ベルトルッチを回想する本が出版された(5月22日、レプッブリカ)。

著者パオロ・ラガッツィ、タイトルは、La casa del poeta. Ventiquattro estati a Casarola con Attilio Bertolucci (詩人の家、アッティリオ・ベルトルッチと過ごした24の夏)、ベルナルド・ベルトルッチ(息子)による序文がついている(Garzanti, 188ページ、18ユーロ)。

レプッブリカ紙の記事は、ピエトロ・チターティによるもので、詩人ベルトルッチのエピソードを紹介している(ちなみに、二人の息子、ベルナルド、ジュゼッペは二人とも映画監督として有名)。

詩人ベルトルッチは、30年間に渡り、毎日チターティと電話をしていた。内容はたわいもないことで、政治や文学については話さなかった。

ベルトルッチは、生涯で二度、精神病院の敷居をまたいでいる。最初はインシュリン療法を受けたが、そのときは旧友で作家のジョルジョ・バッサーニが毎日、会いに来た。

20年後、再び病いにおそわれ、今度は電気ショック療法を受けた。彼の病気が何であったかを言うのは困難である。彼は「名状しがたい」不安を抱えていた。

妻を愛するあまり、妻が美容院に行って20分でも帰宅が遅れようものなら、もう帰ってこないのではないかとの思いにとりつかれるのである。

彼は文学において、病いを正しい方法で用いた。彼の詩集Viaggio d'inverno(冬の旅)やCamera da letto(寝室)では、彼の心が、神経症によって適切な影を与えられ、均衡を保って描かれている。

彼の父はパルマ近郊に podere (農場)を残してくれた。彼は、定職には、パルマの学校での数年を除いてつかなかった。Eni の発行する月刊誌 Il gatto selvatico を編集したり、出版社ガルザンティの顧問をしたり、新聞レプッブリカに記事を書いたりした。

彼の妻に対する愛情は、強迫的ともいえる絶対的なもので、息子ベルナルドは、父は母の愛をすべて自分に向けようとした、と語っている。

2000年6月8日、詩人は亡くなった。

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コメント

 たいへんたいへん、興味深く拝見しました。ジョルジョ・バッサーニはイタリア語で読んだ最初の作家で、感動しました。このような記事は貴重で、たいへん有意義。感謝いたします。また期待いたします。

投稿: Kudo Tomoko | 2008年5月28日 (水) 21時59分

Kudo Tomoko さま

どういたしまして、というより、こちらこそ感謝を申し上げねばなりません。

イタリアは、美術、建築、音楽、料理とならんで文学も大変豊かな伝統を持っていると、僕は考えておりますが、それに関心を持っている読者がいることが確認できますと、大いに、紹介のしがいがあります。

投稿: panterino | 2008年5月29日 (木) 07時04分

興味深くいろいろ勉強になります。
是非、次回はOSKAR PETERLINI(衆議院)という人物について教えていただきたいです。

投稿: sino | 2008年5月30日 (金) 09時47分

sino さん

Oskar Peterlini は、不明にして、初耳でした。ネットで検索してみると、アルト・アディジェ(南チロル)から選出されている上院議員(senatore)ですね。アルト・アデジェの自治獲得をめざすグループのリーダーみたいです。1950年生まれ。

ご存じでしょうが、アルト・アディジェは、もともと第一次大戦まではオーストリアであった地域で、母語がドイツ語の住民も数多くいます。学校もドイツ語で教育している学校もありますし、たしかこの地域の公務員はドイツ語、イタリア語のバイリンガルであることが求められていたと記憶しています。

自治または独立を求める動きは、やはり北部のヴァッレ・ダオスタ州にもあるようです。ただし、こちらは、フランス語を話す住民がいる地域ですが。

ヨーロッパは地続きですので、国境付近では、国境と言語の関係が錯綜していますね。

投稿: panterino | 2008年5月30日 (金) 15時03分

横から失礼いたします。この場をお借りして申し上げたいことが
あり、ブログ主様、違反行為に当たるとしたら削除してください。

Kudo Tomoko様
『詩の住む街』の著者である工藤知子氏でいらっしゃるんですよね?
私は先日アンドレア・ザンゾット氏に会ってきた、単なる須賀敦子
ファンの者なのですが、工藤様はザンゾット氏の詩集を翻訳なさる
ご予定はございませんでしょうか? 須賀さんが生きていらしたら、
必ず着手されたであろうと確信しておりますが、彼に残された時間も
それほど長くないと感じ、日本語訳の実現を願って止まないのです。

もうひとつ、アルト・アディジェについて。
今年1月、ボルツァーノ近郊にMarleneというブランドのりんごの
協同組合の総本部を訪ねた日本人グループに同行した際の事。
レクチャーを担当されたディレクター氏をはじめ、勤務する
10数人の職員全てドイツ語が母国語(!)の方々でしたが、この
学のあるディレクター氏にして「我々はいまだにイタリアから
『占領』されている」という強い言い方をしたのが印象的でした。
ヴァッレ・ダオスタも特別州の恩恵をアルト・アディジェと同様に
享受しているわけですが、ここまで独立志向は強くないと思います。

投稿: mikotta | 2008年5月31日 (土) 06時41分

mikotta さん

僕も、Kudo Tomoko氏は、『詩の住む街』の著者でいらっしゃると認識しています。
管理人としては、イタリア詩の話題に、花が咲くのは歓迎ですが、ご質問の内容に対するお答えを Kudo Tomoko 氏が公開のお返事にすることを望むか、mikotta さんへの私信という形を好まれるか、あるいはその他の形を望まれるかが、わかりませんので、管理人としては、しばらくこのままの形で、とどめておきたいと存じます。

アルト・アデジェの話、きわめて具体的な、情景が目に浮かぶような情報ありがとうございます。「占領されている」というのは、彼らの意識を如実に表している言葉ですね。

投稿: panterino | 2008年6月 1日 (日) 04時51分

panterino様、mikotta様、

 この麗しい場をお借りいたします。アンドレーア・ザンゾット氏にお会いしたとは、羨ましいかぎりです。わたしは多忙そして入院生活などでお会いする機会をいまだ持ちえず、そのうちマーリオ・ルーツィ氏は亡くなりましたし、焦っております。ルーツィ氏同様に大尊敬、という言葉では言い表せないほど畏怖しておりますザンゾット氏のお作品に、また取り組めたなら・・・ちからを尽くします。斎戒沐浴。お待ちくださいませ。
 ただ今やはり残された時間がそれほど長くない、と思われる作家に、それともう一人詩人に取り組んでおります。よくぞ励ましてくださいました。お礼申しあげます。

mikotta様、ご連絡の方法おおしえ下さいますよう。
 panterino様、いつも勉強させていただいております。感謝。
        お騒がせいたしました。

                                 工藤 知子 


投稿: Kudo Tomoko | 2008年6月 1日 (日) 12時33分

工藤知子さま
mikotta さん

1.お二人の連絡方法について
 もし、ご異存がなければ、管理人(panterino)のメールアドレス
 ebpanterino@yahoo.co.jp
に、工藤様と mikotta さんが、ご自分のアドレスをmikotta さんと工藤様に教えてもよいという一言を添えてお送りいただければ、管理人から転送いたします。他にもっと良い方法があれば、そうしたいのですが。。。

2.詩人ザンゾットと mikotta さんがどのような会話を交わしたのかは大変興味のあるところです。何らかの形でご披露していただければ、とても嬉しく思います。あるいは、時をおいてまとまった文章になさるご予定なのでしょうか。ぶしつけな質問で申し訳ありませんが、そのような機会を望まずにはいられませんし、一方的なお願いで申し訳ありませんが、その折にはご一報いただけると幸いです。

投稿: panterino | 2008年6月 3日 (火) 01時20分

panterino様

1.工藤様に私のメールアドレスをお知らせいただく案に
つきまして、何ら問題ありません。任意のメールアドレス
欄に記載のものをお知らせいただけると助かります。

2.現在コルティナ近くの山岳地帯におりますので、イン
ターネット接続が思うようにできず、苦労しております。
あさって下山しますので、その後直接メールさせていただく
ことにいたします。

投稿: mikotta | 2008年6月 3日 (火) 06時20分

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