Gomorra
原作はロベルト・サヴィアーノの Gomorra で、この本はイタリアでは100万部を越えるベストセラーとなっている。
カモッラ(ナポリ周辺の犯罪組織)の実態を描いたドキュメンタリー小説で、サヴィアーノはカモッラから狙われる身となり、現在は24時間護衛がついている。
その原作から5つのエピソードを拾い上げて、原作者も加わって台本が書かれた。監督はマッテオ・ガッローネ。
ガッローネの映画は2003年のイタリア映画祭で『剥製師』が紹介されている。独特の息詰まるような雰囲気の映画であった。
映画『ゴモッラ』の主演トニ・セルヴィッロは、2005年のイタリア映画祭で上映された『愛の果てへの旅』の主演男優である。彼は最近ひっぱりだこで、『ゴモッラ』(カンヌ映画祭に出品)のほかに、政治家アンドレオッティを描いた映画にも主演し、アンドレオッティ役を演じている。この映画もカンヌ映画祭に出品されているのだ。
『ゴモッラ』のストーリーの細部を語るのは避けるが、5つのエピソードは相互に絡みあっているという点では、中身はまったく異なるのだが、映画の構造という点では、『恋愛マニュアル』に似ている。
もちろん、『ゴモッラ』は犯罪組織の話であり、内容は『恋愛マニュアル』とは異なり笑える話ではない。ただし、ひっきりなしに殺戮が繰り広げられるという映画でもない。
ここから、かるくネタバレととられるかもしれない話なので、読みたくない人は読まないでください。
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さて、一つのエピソードは、ブランド製品をナポリの工場で中国人がつくっているという話である。(細部は省略します)。
その後、RAI3のReport というドキュメンタリーを見たら、現実はさらに進んでというか、悪化しているのである。グッチもドルチェ&ガッバーナも、シャネルも、ほぼあらゆる有名ブランドが、洋服も靴も、下請け、孫請けに出して、ナポリや東北部などの中国人の工場でつくっているのである。
だから、中国人はもはや模造品だけでなく、本物も作る技術をすっかり手中にしており、番組の中でも、取材したある有名ブランドの靴は、本物か偽ブランドかわからないと言っていた。
こうして、ごく一部のメーカーを除いて、イタリア人の職人はイタリアからも消えつつあるのだ。ブランド品ですらそうなのである。あるいは、中国でほとんど作っておいて、たとえばカバンの取っ手だけをイタリアでつけて、メイド・イン・イタリーを称しているものもあるという(これは、もちろん不正である)。
一つ興味深かったのは、ここに出てくる役者、出演者は、ナポリ方言の話者で、自然に語っており、時々イタリア語字幕が出たことである。字幕を見て、ああこう言っていたのかと逆に推測できることもあるが、まったく何を言っているのかわからない場合もある。まあ、だからこそ、イタリア人に対しても字幕をつけるのであろう。
僕が見たのは、土曜日の午後5時からの上映で、東京とは異なりそれがその日の第一回目の上映である。『ゴモッラ』は、原作はベストセラーで、映画もカンヌに出したこともあって、連日テレビでも紹介されており、映画館が混んでいないとよいのだが、と思っていったら、全くの杞憂であった。
一列あたり、一組のカップル、あるいは一人の観客がいるかいないかで、がらがらであった。値段は一般で7ユーロ(お年寄りや障害者は割引がある)。
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コメント
はじめまして。アンドレア・ザンゾットでグーグル検索したら、
こちらのページに辿りつきました。須賀敦子さんの没後10年に
あたり、彼に手紙を書いたら彼の奥様からお返事をいただき、
今度の土曜日に初めてお目にかかることとなり、緊張しております。
私もReportみました。B.Venetaのバッグ3500ユーロの原価を
知り、椅子から落ちそうになりました。
また立ち寄らせていただきます。
投稿: mikotta | 2008年5月20日 (火) 09時25分
mikotta さん
ザンゾットは今や、現存の詩人でもっとも大物の一人ですよね。実り多い出会いになることを、心から期待しております。
また、是非ザンゾットについてのお考えなり、紹介をなされることを切望いたします。
高級ブランドのバッグは数千ユーロもするのだから、イタリア人の職人を使っても、十分人件費は吸収できるはずなのに、少しでも利益率を高くするために、イタリアに存在している(大半は不法滞在者で、ヤミ労働で、税金も払わない)中国人の工場で作らせていることに、僕は、個人的には非常に残念な気持ちを持ちました。
この事態を放置すれば、近い将来、イタリアの職人技を継承するのは、イタリア人ではなくて、イタリアに在住する中国人ということになってしまうでしょう。
投稿: panterino | 2008年5月21日 (水) 02時16分