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2007年6月21日 (木)

《夏の嵐》の撮影現場に来た?トリアッティ

Senso1

ルキノ・ヴィスコンティ監督の《夏の嵐》の撮影現場に、当時のイタリア共産党書記長のパルミーノ・トリアッティ書記長が来ていたらしい(コリエレ・デッラ・セーラ、6月9日)。

1953年、ヴィチェンツァのパッラーディオ建築のヴィッラ・アルデーノ(現ヴィッラ・ゴーディ)で、アメリカ人俳優のファーリー・グレンジャーは、ヴィスコンティ監督が外部からやって来たある紳士と熱心に話し込んでいるのを目撃した。その紳士はイタリア共産党書記長パルミーノ・トリアッティであった。グレンジャーは自伝《Include Me Out》の中で、ヴィスコンティの映画撮影を大きくとりあげて、全体365ページのうちの60ページをそれに割いている。

しかしその記述には間違いがあって、トリアッティがハゲだったと書いている。当時ヴィスコンティの助監督だったフランチェスコ・ロージは、トリアッティはヴィスコンティのセットにはやって来なかったと述べている。

たしかにトリアッティは、ヴィスコンティへの賞賛を隠してはいなかった。共産党書記長は、ヴィスコンティの演出した舞台を見に行ったし、彼の芝居や映画に関して肯定的な評価を一度ならず表明した。

《夏の嵐》は、共産党の文化にとって特別の意味がある。この映画は、ネオ・レアリズモからレアリズモへの移行、現代の記録から歴史的ロマンスへの移行を形成する役割を担っていた。

ファーリー・グレンジャーの記憶はなぜ不正確だったのかは不明だ。グレンジャー自身の恋愛遍歴は男女ともに華やかである。女性は、パトリシア・ニール、シェリー・ウィンターズ、アヴァ・ガードナー。男もたくさんいるのだが、最も有名なのは指揮者で作曲家のレナード・バーンスタイン。

《夏の嵐》の中のフランツ・マーラーというオーストリア将校の役は、最初マーロン・ブランドにオファーされたが彼が断った。そこでグレンジャーが引き受けた。撮影が始まると、助監督のゼッフィレッリとよく英語で話していた。ヴィスコンティとグレンジャーの間には何も生じなかった。

ヴィスコンティは、映画の外でもグレンジャーがフランツ・マーラーのように振る舞うことを期待したが、ヴェネツィアではグレンジャーは放埒な振る舞いをしなかった。そこで、ヴィスコンティはグレンジャーをパリに連れて行き、ジャン・コクトーの恋人ジャン・マレーに引き合わせる。短い滞在ではあったが、マレーはガイド兼愛人となったらしい。

1954年に《夏の嵐》はヴェネツィア映画祭に参加するが、金獅子賞はとれず、アメリカで公開されるのは、1968年になってからでしかも短縮版であった。

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コメント

古いエントリーにコメント失礼いたします。
夏の嵐、名作ですね。
ヴィスコンティはグレンジャーをマレーに会わせていたんですか。
ヴィスコンティはゼッフィレッリもマレーに会わせていますね。
拙ブログでも、夏の嵐やジャン・コクトー、ジャン・マレーについて書いていますので、よければ遊びに来てください。

投稿: Mizumizu | 2008年9月 9日 (火) 17時48分

Mizumizu さん

ブログ、《夏の嵐》に関する部分、拝見しました。
実に、深い読解ですね。
グレンジャーの台詞の、歴史的背景と個人的な荒廃が結びついているところが見事だと思います。

これまで、なんとなく嫌な話だなと思っていたのが、ぐっと将校フランツへの理解が深まりそうです。

おっしゃる通り、ヴィスコンティの映画では、個人は単に感情に流される個人ではなく、それぞれの階級や歴史を、好むと好まざるとに関わらず背負っている、ヨーロッパ的個人なんですね。そこが現代の日本人には、理解しにくく、味わいづらい部分なんでしょうね。

そこの部分が、Mizumizu さんのブログを拝読して、実によく理解できました。(お名前の部分をクリックすると、飛べます)。

投稿: panterino | 2008年9月11日 (木) 23時38分

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