《気ままに生きて》
《気ままに生きて》(キム・ロッシ・ステュアート監督)を見た(イタリア映画祭2007)。
キム・ロッシ・ステュアートは、ジャンニ・アメリオ監督の《家の鍵》で、障害児の子供をいったんは捨てたが、再び引き取るという屈折した父親役を見事に演じていたが、監督としては未知数でどんなものかと思いつつ臨んだが、意外な秀作であった。
題名は《 Anche libero va bene 》で、(サッカーのポジションは)リベロでもいい、という主人公の男の子トミーのせりふから取られている。トミーはずっと父の希望で、水泳をやらされているのだが、本当はサッカーがやりたかった、その願いがかなうときに、どのポジションがやりたいかと言われて、Centrocampista (ミッドフィールダ)かなというと、父が自分は libero が好きだというと、息子はリベロでもいい、というのである。もちろん、libero には自由人という意味もある。
この父と娘・息子の一家は、母親が蒸発していて、途中で、母親が詫びをいれて帰ってくるのだが、娘が大喜びなのに対して、息子は屈託があり、母はまた出て行ってしまうかもしれない、と呟く。このトンマーゾ(アレッサンドロ・モラーチェ)の屈折した表情は素晴らしい。彼は喜びや悲しみのまじったさまざまな灰色の感情を、自由に表現し、観客を彼の心の中にすっと引き込む。
監督自身が演じる父親は、結婚生活に失敗したためか、感情の起伏が激しすぎて、(普段は子供に優しいのだが)時として子供にあたったり、仕事でも、相手とぶつかりうまくいかない。
少年の眼から、姉との関係、性への目覚め、父母とのアンビバレントな関係が描かれていく。
母親役のバルボラ・ポブローヴァもエクセントリックな女性の存在感がにじみ出ていた。
現代の家庭について、考えさせられる一本であった。
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コメント
こんにちは。昨年も映画祭の記事にお邪魔した者です。
今年も盛況ですね!私も3日間で7本鑑賞致しました。
残るは「カビリア」のみ。
とりあえず、「気ままに生きて」の感想だけアップ致しましたのでTBさせて頂きました。
仰るとおり、思いの外の秀作で感動してしまいました。
もっと、監督にエールを送って差し上げれば良かったと残念で・・。日本の観客の反応を楽しみに来日されたでしょうに、当日の会場はちょっと冷ややかでガッカリされたのではと思います。
投稿: マダムS | 2007年5月 3日 (木) 11時22分
マダムSさん
コメントおよびトラックバックありがとうございました。
そうですね。たしかに、観客は沸き立つような反応というのとは違いますが、あの映画の内容と、最後の場面の少年の哀しみに共感して静かな反応だったのかな、と僕は思っていました。
キム・ロッシ・ステュアートは、自分が出演・監督したもの以外も見ていましたから、おそらく日本の観客の反応のニュアンスも、ある程度、理解しているのではないかとも思います。
次作が楽しみですね。
投稿: panterino | 2007年5月 3日 (木) 13時28分