血のパスクワ
アリエル・トアフ著『血のパスクワーーヨーロッパのユダヤ人と儀式としての殺人』が、ユダヤ人社会に激しい議論を巻き起こしている(コリエレ・デッラ・セーラ、2月6日、7日、8日)。
この本の著者アリエル・トアフは、有名なローマのラビ、エリオ・トアフの子息であるが、この著作の中身が、ユダヤ人のタブーに触れたため、父親も息子に対する厳しい批判に加わった。
本書の主題は、中世において、ユダヤ教の過ぎ越しの祭り(Pesach)(キリスト教の復活祭に相当)に、ユダヤ人がキリスト教徒の子供を誘拐して殺して、その血を儀式に用いたという「伝説」を扱っている。
1475年3月23日に、トレントで、過ぎ越しの祭りの前夜に、シナゴーガ(ユダヤ教寺院)のそばで、シモーネという子供の死体が発見された。シモーネは2歳で、皮なめし職人の息子だった。
ユダヤ人たちが疑われ、牢獄に入れられ、拷問の結果、恐るべき犯罪を「自白」した。
「犯人」の15人のユダヤ人は、広場で公開処刑された。
中世から19世紀まで、ユダヤ人は、儀式のためにキリスト教徒の子を殺すと言われていた。
トアフの本がユダヤ人社会に衝撃を与えたのは、次の点だ。トアフは、12~15世紀には、ドイツ系ユダヤ人の一部には、過ぎ越しの祭りの儀式で用いる血を得るため、キリスト教徒の子供を殺したこともあっただろうとの記述である。
トアフは、イスラエルのバリラン大学の中世およびルネサンス史の教授である。
それに対し、ユダヤ系の宗教人は一斉に反論した。その非難に、著者の父エリオ・トアフも加わったのである。
トレントの事件で亡くなったシモーネ(シモニーノ)は、福者として1965年まで崇められていた。第二ヴァティカン公会議をうけて、中止されたのである。
著者アリエル・トアフは、92歳の父をこの論難に巻き込むのはやめてくれと訴えている。また、自分が脅迫を受けていることも示唆した。
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