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2006年11月13日 (月)

『コジ・ファン・トゥッテ』その2

Cosi_fan_tutte_1 『コジ・ファン・トゥッテ』のストーリーの元ネタは、複数あると言われているが、いくつかのオペラ辞典に共通して指摘されているものが二つある。

一つは、オウィディウスの『変身物語』という古代ローマ時代の古典。その巻7に「ケパロスとプロクリス」の物語がある(岩波文庫では『変身物語』(上)pp.292-303。ブルフィンチの『ギリシア・ローマ神話』では、この部分、前半の逸話が省略されているので、ここでは参考にならない).

ケパロスとプロクリスは夫婦である。二人が新婚ホヤホヤのころ、曙の女神アウローラが、ケパロスに横恋慕し、拉致してしまう。

ケパロスは、女神に、いかにわが妻プロクリスが素晴らしい女性かを語っていたものだから、女神は気を悪くし、「そんなに妻がよければプロクリスの元へ帰りなさい。でも、私の予見によれば、お前はきっとそれを後悔するでしょう」、と言われる。

女神の言葉に不安にかられたケパロスはあろうことか、プロクリスの貞節を疑う。そして、変装して、別の男になりすまし、プロクリスに求愛する。最初はプロクリスは相手にもしないのだが、度重なる求愛、金銀財宝に心を動かされる。するとケパロスは正体を明かして、妻をなじる。

彼女は恥じて家を逃げ出すが、ケパロスは追いかけて許しを乞い、和解する。(その後、今度は、プロクリスが誤解に基づいた嫉妬をし、それがもとで、ケパロスは、魔力を持った槍で、あやまってプロクリスを刺しケパロスは死んでしまう)。

たしかに、『コジ・ファン・トゥッテ』の原型という感じである。自分の妻(婚約者)の貞節を、男が別人になって求愛して試すという点が共通している。ただし、ケパロスとプロクリスが1組のカップルであるのに対し、『コジ・ファン・トゥッテ』は2組のカップルで、しかも、別人になって求愛するときに自分の婚約者ではなくて、友の婚約者に求愛するという趣向になっているわけだ。

もう一つの下敷きは、アリオストの『狂えるオルランド』の第43歌(名古屋大学出版会の脇功訳『狂えるオルランド(下)』、pp.370-405)である。

(長くなったので、ここでもう一度区切ります)。

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