« 『フェルモとルチーア』のクリティカル・エディション出版 | トップページ | パスコリの無政府主義賛歌、再発見される »

2006年10月29日 (日)

大学入学生、減少する

Matricole イタリアの大学入学生が減少している(コリエレ・デッラ・セーラ、10月24日)。

イタリアでは、1999/2000年と2000/2001年の間に、3年卒業のコースを導入し、それから3年間、2003/2004年までは入学者が増えていたが、去年、今年と減少に転じている。

年度       入学者
     (再入学者を除く)
1999/00  28万6893
2000/01  29万5526
2001/02  33万1288
2002/03  34万7160
2003/04  35万3119
2004/05  34万7700
2005/06  33万1940

2年連続の減少は、やや懸念のあるところで、イタリアはヨーロッパで最も大卒者の少ない国の一つである。

Istat の調査によると、若者は良い職につくために、大学を卒業することが必須と考えていないらしい。

入学者の減少は、一部分は、若者の人口が減っていることで説明できる。しかし、去年は入学者は4,5%(1万6千人)減少している。19歳人口は、2004/05年には、2,6%の減少だったのだ。

新入生は、明らかに女性優位で、女性55,8%、男性44,2%となっている。女子学生は、言語系や心理系を好み、防衛やセキュリティ、工学や理学系は男子学生が多い。教育系は男女とも減少しており、医学系は横ばい。外国人学生は2,1%。

Istatの統計によると、大学生の20,5%、即ち、5人に1人は、入学一年後に大学を辞めている。40%は、規定年限以上在籍している。その結果、64%が規定年限を越えた年数をかけて卒業する。半数近くは、26歳以上で卒業するのである。

ただし、6年前に導入された3年卒業コースでは、58,8%が予定通りに卒業している。

|

« 『フェルモとルチーア』のクリティカル・エディション出版 | トップページ | パスコリの無政府主義賛歌、再発見される »

コメント

子どもを大学にやる金銭的余裕がない家庭が多いのでしょうか。若者の失業率も高いし、高卒で働ける職場というのは小さなところが多いでしょうから、仕事に就けたとしても、その後がちょっと心配ですね。

投稿: azusa | 2006年11月 3日 (金) 15時07分

そうですね。90年代に較べると、進学率は上がっていますが、最近伸び悩みという感じでしょうか。

イタリアは中小企業が多いから、大学を出る出ないにかかわらず、就職は小規模のところが多いと思いますが、高卒か大卒かで、期待する職種は異なると思います。

しかし、実際は、大卒者が期待する職種のポストが十分には提供されていないという問題があります。

投稿: panterino | 2006年11月 3日 (金) 23時25分

こんにちは。また首を突っ込んじゃいます。

azusaさんの書かれた「子どもを大学にやる金銭的余裕がない家庭が多いのでしょうか。」という点で、ちょっと感じた事を。

日本の大学生のほとんどは、ご両親に学費や生活費を出していただくのが「当たり前」な状態ですが、イタリアでは、半数くらい(←私の感覚)の学生は学費や大学にかかわる費用を自分でまかなっているようです。

それから、大学へ通うこと自体には、日本ほど金がかかりません(医学部などの特殊な学部は別)。
授業料も、1年で10万円くらいのはずですし。
本代もケチろうと思えば、図書館(室)で手に入りますし。

何が言いたいかというと、「子どもを大学にやる金銭的余裕」という感覚が、イタリアには当てはまらないのではないか?と思うのです。
・・・でもこれって、10年前の感覚かな。。。?

投稿: marinara | 2006年11月 4日 (土) 08時10分

marinaraさん
適切なコメントありがとうございます。

大学の所在地も、日本のように東京圏集中ということもないから、自宅から通っている人も多い気がします。

女子学生の服装なども、大変質素でした(10年前の話ですが・・・)。

大雑把に言うと、日本よりもイタリアの方が、階級がはっきりあって、その出身社会階層と進学先がリンクしている度合いが日本より大きいという印象があります。

若者の就職に関しては、不規則な雇用が増えているという問題が、雇用の規制緩和に絡んで、たびたび話題になっています。

投稿: panterino | 2006年11月 4日 (土) 14時55分

marinaraさん
ありがとうございます。親に金をだしてもらって学校に行っているわたしですが、勉強が足らなかったですね…。詳しいお話をしていただきありがとうございます。

panterinoさん
日・伊の学生の服装については前もおっしゃっていましたね。海外の学生はリサイクルショップや量販店をうまく利用しているようですね。身の丈にあったおしゃれといった感じです。バイト代のほとんどを服につぎ込んでしまうわたし。見習わなければ。

不規則な雇用の問題は日本と同じですね。

投稿: azusa | 2006年11月 4日 (土) 22時05分

azusaさんへ、
日本の多くの学生が、学費を親御さんに出資していただいている件に関しては、全く問題だと思っていないんですよー。
そのような境遇にあれば、思いっきり有効に活用すればいいと思っています。

自分で学費を工面している人も、それはそれで素晴らしい。

panterionさん、
不規則雇用の問題に関して:

朝日新聞で「Generazione 1000 Euro」という本(←大卒で、収入が不安定な若者のブログが本になったとか)がイタリアでブームになったという記事があったそうです。

その直後、イタリアへ行く機会があったので書店で見てきたのですが、平積みで陳列されていたけれど、「ブーム」というほどには見えませんでした。
私の知り合いの反応も、イマイチのようでした。
本当に、ヒットした本だったのでしょうか?
ご存知ですか?(←本件とは関係のない単純な質問)

それから: 日本の新聞(記事or広告)で特別に取り上げられるほど、イタリアの大卒の若者の就労状況は酷いのでしょうか?(観点は日本との比較)

「大卒で、仕事が不安定」というのは、イタリアでは昔も見られた現象のようにも思うのですが、なぜ今取り上げられるのでしょう?(イタリア内、時系列の比較)

上記の本が、本当にヒットしていたのだとすれば、その背景には雇用の規制緩和があるのでしょうか?
すみません。もしご存知でしたら、もしくは、ご意見をお持ちでしたらお聞かせください。

投稿: marinara | 2006年11月 5日 (日) 18時44分

marinaraさん
「Generazione 1000 ユーロ」の話は僕も朝日で読みました。残念ながら、今年の夏、イタリアの書店に行った際には、関心が別のところにあったせいで、この本には気がつきませんでした。というわけで、ブームといえるほどだったがどうかは、判りませんが、グーグルで引くとたくさんのサイトにヒットしますね。

イタリアの大卒の若者の就労状況は、酷いかどうか。(日本と比較して)
日本でも、1990年代に就職しようとした若者は、正社員になる人が少なく割りをくった世代で、ここ数年は、大卒・高卒ともにかなり就職状況(新卒者の)は好転しているようです。

イタリアの場合、ベルルスコーニ政権のもとで、ほぼ経済はゼロ成長で、しかもユーロ導入で、激しく物価上昇(便乗値上げも含め)したので、物価高に苦しめられている面があると思います。景気は良くなかったのに、物価が安定していなかったわけです。

単純に計算すると1000ユーロ=200万リラとなるはずなのですが、生活実感からすると、月収200万リラの時のほうが遣いでがあったということになります。

イタリアの新卒者に、期限付き雇用、非正規雇用が増えていることは、このブログでも取り上げてきました(2005年10月16日、2006年4月17日、5月2日、5月5日、5月25日、6月1日、6月2日・・・)。

イタリアでは、以前は非常にガッチリと労働者(正規雇用の)の権利が守られていて、解雇が非常にしにくかったわけです(労働憲章18条)。

そうすると、雇用主は、景気が良くなっても新規採用を控えて、ヤミで雇ったりするから、雇用を柔軟化して、解雇をしやすくする、期限付き雇用をしやすくして、その代わり新規雇用を増やそうというのが、1990年代になされたビアジ法をはじめとする(その前にもトレウ法とかありますが)雇用に関する規制緩和の意図であったかと思います。

ところが、その結果、新規雇用は確かに増えたのだけれど、不安定雇用が長期化する人が出てきたのですね。期限付き雇用で、半年とか1年雇われて、それで解雇される。次が正規雇用でなくて、また期限付き。それが延々と繰り返されてしまう。

だから、precario(不規則雇用)の問題は、先の総選挙のテーマの一つともなったわけです。プローディは積極的に取り上げていたし、選挙後もナポリターノ大統領が言及しています。

日本の場合、雇用の問題は、1990年代にフリータ化した世代と、ほぼ全世代にわたる長時間労働(サービス残業なんて言葉は、イタリアには無いのではないでしょうか?)が問題だと思います。こういう事態を放置したままでは、少子化問題は解決しないと僕は考えています。

単純に失業率だけを比較するなら、常に、イタリアの若者(大卒者も含め)の方が厳しい環境にあるでしょう。イタリアの場合、地域差も日本以上に大きいわけですが。

長文、失礼しました。

投稿: panterino | 2006年11月 5日 (日) 22時57分

panterinoさんへ、

大変詳しく解説してくださり、ありがとうございました。
特に、物価との関係に関しては「なんとなく気になっていた」というレベルだったのが、「スッキリ」しました。

「ビアジ法」「トレウ法」「precario」といったキーワードも分かったので、検索システムで探してみます。

それに、このブログの「バック・ナンバー」という手もあったのですね。
新参者なので、バック・ナンバーをちゃんと読んでいませんでした。

そこで、バックナンバーで今年の4月から読み始めようとしたのですが、「山猫」の所で興味がそちらに移ってしまって、結構な時間が経ってしまいました。
どうやら、バックナンバーから「雇用規制緩和」を読み直すのも時間がかかる模様です。
が、のんびり取り掛かります。

投稿: marinara | 2006年11月 6日 (月) 12時31分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/144339/12478960

この記事へのトラックバック一覧です: 大学入学生、減少する:

« 『フェルモとルチーア』のクリティカル・エディション出版 | トップページ | パスコリの無政府主義賛歌、再発見される »