「ベネチア人にしっぽがはえた日」
アンドレア・モレジーニ作 長野徹訳「ベネチア人にしっぽがはえた日」(汐文社)を読んだ。
子供向けのファンタジーである。舞台はヴェネツィア、時代劇であるところが一風変わっている。総督(ドージェ)や評議員たちが出てくる。
主人公は2人の子供(一人は、キリスト教徒、もう一人はユダヤ人でゲットーに住んでいる)とベファーナ(1月6日の前夜にやってくる魔女、イタリアの子供はお菓子をもらう)。
ベファーナの失敗で、ヴェネツィア中の人にスカンクやキツネやワニ等々のしっぽが生えてしまう。大騒ぎになるのだが、それをユダヤ人の陰謀だと言うものがあらわれ・・・という話。
予想通り、宗教の壁を越えた友情物語であるのだが、二人の子供のちょっとまぬけな守護天使や、時代劇ならではの総督の登場、ゲットーという日本の子供にはなじみの薄いものが出てくるのだが、メインとなるストーリーは単純なので、子供でもまったく読みにくくはない、と思う。
というか、こういうストーリーをきっかけに、ヴェネツィアという町やその歴史、あるいはまたキリスト教や魔術、魔女に興味をもつ子供も出るかもしれない。
なお、この本は「イタリアからのおくりもの 5つのちいさなファンタジア」というシリーズの一冊。
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