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2006年6月 3日 (土)

ビアンカ・ピッツォルノ『木の上の家』

木の上の家

ビアンカ・ピッツォルノ『木の上の家』(長野徹訳、汐文社)を読んだ。

ピッツォルノの作品は、長野徹氏の翻訳により、『ラビーニアとおかしな魔法のお話』(小峰書店)、『ポリッセーナの冒険』(徳間書店)がすでに日本の読者に届けられている。

ピッツォルノという人は、一作、一作かなり作風が違うが、ファンタジーのあるお話という点が共通しているようだ。

『木の上の家』は、ビアンカ(大人)とアグライア(8歳の女の子)が木の上に住み始める、というところから話がはじまる。トム・ソーヤとハックルベリー・フィンを思い起こさせるが、ピッツォルノはパロディというか有名作品の換骨奪胎も好きなようだ。

『ラビーニアとおかしな魔法のお話』は、ラビーニアがマッチ売りの少女なのである。アンデルセンを下敷きにしているが、中身は、まったくことなり、妖精から魔法の指輪をラビーニアはもらうのだが、それが、とてつもないもので、あらゆるものをウンチに変えたりもとに戻せたりというもの。痛快な騒動がそこから起こるのは、想像できよう。

『ポリッセーナの冒険』もシェイクスピアの『テンペスト』やホメロスを思わせる冒険譚である。

『木の上の家』は、きっかけは樹上生活だが、そこには、意外なことに先住者のおじさんがいたり、こうのとりが赤ん坊(通信販売なのだ!)を配達途中にもかかわず、置いていってしまったり、超現実的なことが起こるのだが、雰囲気はどこか牧歌的である。動物の登場人物が多い(『ドリトル先生』シリーズを思わせますね)のも、それに一役かっているかもしれない。

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