《クオ・ヴァディス、ベイビー?》
《クオ・ヴァディス、ベイビー?》を観た。イタリア映画祭2006。カブリエーレ・サルヴァトーレス監督。
サルヴァトーレス監督の作品としては、《エーゲ海の天使》(1991年)、《ぼくは怖くない》(2003年)が名高いが、この2005年の作品は、舞台も作り方も、まったく上記2作品とは異なる。
主人公はボローニャで私立探偵をしているジョルジャ(アンジェラ・バラルディ)。そこに16年前に自殺した姉アーダが撮影した大量のヴィデオカセットが届く。
「クオ・ヴァディス」というのは、聖ペテロがネロ帝の迫害を逃れてアッピア街道を逃げているときに、死んだはずのイエスに会って、「ドミネ、クオ・ヴァディス」(主よ、どこへ行くのですか?)と問いかけると、イエスは「ローマへ。お前のかわりにもう一度磔になりにいく」と言ったという伝説がある。
調べてみると、この言葉は、聖書の外伝である「ペテロ行伝」にあり、それをアンブロシウス(4世紀ミラノの司教、アンブロージョ、祝日12月7日はスカラ座の初日)が一般に広めたと言われている。近代では、19世紀ポーランドの作家シェンキェーヴィチが小説にしてさらに広めた。
アッピア街道には、ドミネ・クオ・ヴァディス教会があり、教会のなかには、巨大なイエスの足跡がある。
以上のことを、一般のイタリア人は思い浮かべるであろう。しかし「クオ・ヴァディス、ベイビー?」というのは、それをもじって、《ラスト・タンゴ・イン・パリ》の登場人物が吐くセリフなのだ。主人公ジョルジャが、《ラスト・タンゴ・イン・パリ》をテレビで観る場面があり、そこでこのセリフを含んだ部分が写る。
この映画は、これまでのサルヴァトーレスの映画とはテーマも手法も大きく異なる。主人公は、送られてきたヴィデオをもとに、16年前に自殺した姉の行状を暴いていく。ヴィデオや映画を観ている人物が中心なので、一種のメタ映画である。
ただし、テーマとしては姉妹、父娘の関係が核の物語である。
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