《マリオの生きる道》
《マリオの生きる道》。イタリア映画祭2006(有楽町、朝日ホール)。
アレッサンドロ・ダラートリ監督、2005年。映画祭の最終上映作品であるが、一回の上映のためか混んでいた。以前に、イタリア文化会館で上映された。
ここからネタバレあります。
クレモナに住むマリオは友人たちとクラブの開店準備に奔走している。そこへ、突然、市役所への就職が決まる。しかし、それは父が生前に自分の勤め先であることを利用して画策していたことだった。
マリオ(ファビオ・ヴォーロ)は、生き生きと働き、同僚にも評価されるが、そのことによって幹部チェルクェーティの不興を買い、墓地に左遷される。
クラブ開店の準備も、市役所の各種にわたる認可がおりず、遅々として進まない。
その間、マリオはリンダ(ヴァレリア・ソラリーノ)と恋仲になる。リンダは文学部の学生で、イタリアの詩人の墓をヴィデオにとっている。これからフランス人、スペイン人・・・の詩人の墓も撮るつもりだという。マリオは、母と二人暮しだったのだが、リンダを連れ込んだことで母と不仲になり家を出る。リンダはアメリカに留学する。
母と息子の関係、職場の人間関係、出る釘は打たれるというお役所主義(役所に限らないかもしれないが)、イタリアの諸相が簡潔に、しかし容赦なく暴かれる(誇張はあるだろうが)。
この映画を見たあとで、無条件にイタリアは素晴らしい、と手放しで賞賛するほど楽天的になることは、ほとんど不可能になるだろう。これが現在のイタリアなのだ。
個人の創造性が、組織によって抑え込まれてしまう。そうでない組織もありうるはずだ、という思いが感じられる。映画自体の中では、マリオは市役所を辞め、芸術家ビーチョと田舎の廃屋となった農家を改築したところに住むのだが。
同時上映の短編映画は、《話をしてあげよう》。マヌエラ・マンチーニ、2004年。Coop(生協)がスポンサーの映画で、生協の大きな店舗が舞台。
ここからネタバレです。
主人公(クラウディオ・ジョエ)と娘は、スーパーマーケットで買い物をしている。二人の会話から、父と娘は同居しているのではなく、娘の母は現在はジョルジョという男と同居していることが分かる。
父は、自分にも童話の中のお姫様が必要なのだというが、娘はスーパーマーケットの中で、巧みにふるまい、父にお姫様を調達してしまう。
イタリアでも離婚・再婚が以前と比較すると増え、子供も実の母(父)および継父(母)と暮らすケースも増えている。親が子を思う心もあるが、子が親を思う心を巧みにすくいとった佳作。
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