《心の中の獣》
2006年イタリア映画祭が始まった。この映画祭は、日本におけるイタリア年を記念して始まったが、その後も続けてゴールデンウィークに実施し、今年が6年目である(写真は映画祭公式ホームページからのものです)。
《心の中の獣》を観た。監督はクリスティーナ・コメンチーニ。《ブーベの恋人》で有名なルイージ・コメンチーニの娘であり、去年の映画祭で上映された《ママは負けない》の監督フランチェスカ・コメンチーニの姉である。
主人公サビーナが墓地を訪れるところから映画は始まる。サビーナの兄は、アメリカに住んでいる。サビーナは、妊娠を機に、妙な夢にうなされるようになる。
(ここから先、ネタばれのおそれがありますーもっとも、パンフレットにもそれとなく書かれていますが)
幼いときに、サビーナは性的なトラウマを負ったらしいこと、それが夢の形で蘇ってきているのだということが強く、繰り返し示唆される。
サビーナは、同居しているフランコにも打ち明けられず、アメリカの兄ダニエーレ(ルイジ・ロ・カーショ)のところへ行く。兄はアメリカ人女性と結婚し、二人の子供を持ち、幸せそうであるが、しばらくすると、兄もトラウマをかかえ、自分の子供たちとうまく関係を持てぬことが判明する。
この重いテーマと並行して、サビーナの盲目の友人エミーリア(ステファニア・ロッカ)と同僚マリーア(アンジェラ・フィノッキアーロ)の交流が始まる。サビーナがアメリカに行っている間、一人暮らしのエミーリアにメールをよこすのだが、盲目なので、マリーアに朗読してもらうのである。
交流するうちに、エミーリアのサビーナへの愛、エミーリアの同性愛をマリーアが受け入れていく様子が描かれる。
この脇役たちが、盲目であったり、同性愛者であったり、夫に棄てられたことを嘆いていたりと、様々に多様で、少数派の立場にあること、それが結構ユーモラスに描かれていることが、メインの重いテーマをないがしろにするのでなく、むしろ重いのと軽い(本来こちらも扱いようによっては重いテーマとなりうるものだが)のが交差することによって、観客が双方のテーマを生理的に受け入れやすくしていると思う。そこが、この映画の巧みなところだ。
ジョヴァンナ・メッゾジョルノ(《向かいの窓》)のサビーナとルイージ・ロ・カーショの兄ダニエーレの痛ましい絆が話の核にある。
今回の映画祭では、短編(5-10分程度)と二時間程度の映画を組み合わせている。《心の中の獣》と組み合わせられたのは、《ゲーム》という作品。アニメで、キャラクターがどんどん変身していくタイプのもの。荒っぽいが、魅力はある。
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