《ムッソリーニのイタリア》
オーストラリアの歴史家リチャード・ボズワースが Mussolini's Italy という本を書き、ファシズム時代の文化や風俗・習慣について分析している(コリエレ・デッラ・セーラ、4月15日)。
Mussolini's Italy の著者は Richard Bosworth、出版社は Penguin press, 692ページの厚さである。ボズワースは他にムッソリーニの伝記を著わしている。
以下、書評に紹介されているファシズム時代のエピソードを引く。
アキッレ・スタラーチェの新聞 Gioventu' fascista は、ファシズムのスポーツはラグビーである、なぜなら、ユリウス・カエサルの軍団によって、ラグビーはウェールズにもたらされたからだ、と宣言した。しかし、もっとも若者に人気があり、実際になされるスポーツはサッカーだった。
ファシズムは、ピノキオをもってミッキーマウスに対抗させようとした。しかしミッキーマウスの本は、14万人の子供たち(ムッソリーニ家の子供もふくめ)によって読まれ続けた。流通が止められたのは、1942年にイタリアがアメリカに宣戦布告してからであった。
ボズワースは、ファシズム体制が独裁的であったことを踏まえつつ、一方で、体制側の意向がなかなか隅々まで行き渡らなかったことをこういったエピソードで明らかにしている。
また、その実態を彼は、県やコムーネの資料にあたって検証している。
ファシズム体制は、女性を、母親としての女性《donna madre》として捉えていたが、実際には、中絶は止まなかった。
1928年に、モンツァで、中絶手術をほどこしていた医師が逮捕されたが、民衆の抗議が激しく、警察は、彼を釈放せざるをえなかった。
また教会が、一部の人のファシズムへの熱狂を抑制しようとした例として、次のような逸話があげられている。ドイツに移住した労働者に双子が生まれ、アドルフとベニートと命名したいと申し出た。司祭は、「第二の名前もつけなさい」と忠告した。「何故ですか?」とその労働者は尋ねた。「役に立つ時がくるかもしれないからね」。
著者は、最後に、現代のヨーロッパやアメリカの政治に言及し、強いリーダーを望む誘惑に負けてはいけないと警告している。
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