スカラ座の『ルチア』で、グラスハーモニカ活躍
スカラ座の『ランメルモールのルチア』の上演において、グラスハーモニカが演奏された。ある意味で、この曲の「本当の」世界初演である(コリエレ・デッラ・セーラ、3月22日)。
3月21日のスカラ座(指揮ロベルト・アッバード)で、ドニゼッティの『ルチア』の公演があったが、これは歴史的な意味を持つ上演であった。というのも、ルチアの「狂乱の場」で、このベルガモ生まれの作曲家は、グラスハーモニカの幻想的な音色を直感的に選んだのであるが、この楽器はオーケストレーションに怪しげな雰囲気を加え、同時に、ルチアが現実からまったく乖離してしまったことを示唆する。
ドニゼッティの天才が遺憾なく発揮された部分だ。グラスハーモニカは、ガラスという脆い材質、繊細すぎるほどの音色、音程の不安定さなどが、ルチアの破綻をきたす精神を言葉以上に雄弁に語っていることは説明を要しないだろう。
ドニゼッティ自身は、グラスハーモニカの使用を望んだのであるが、初演(1835年9月25日、ナポリのサン・カルロ劇場)の直前に、グラスハーモニカをやめ、パッセージも単純化された。
ちなみに、CDでは、1970年録音のシルズ(ルチア)、ベルゴンツィ、カプッチッリによるものが、グラスハーモニカを使用している。詳しくは、次のホームページを参照してください。
http://www.h5.dion.ne.jp/~goten/donizetti1835-2.htm
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