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2006年3月24日 (金)

首相、プローディに言葉数で勝つ

ベルルスコーニ首相とロマーノ・プローディのテレビ対決についての一風変わった分析が出た。どんな語彙をどれだけの頻度で使用しているか、というものである(コリエレ・デッラ・セーラ、3月16日)。

分析を担当しているのはジョルジョ・デ・リエンツォという大学教授・批評家(イタリア文学)である。

(ちなみに、テレビ対決は、http://www.raiclicktv.it/raiclickpc/secure/homePage.srv
で、Elezioni 2006をクリックして、さらに Prodi-Berlusconi, La sfida--14/03  をクリックすると見られます。ただし、こういうサイトは何日か経過すると見られなくなってしまうこともしばしばです)

デ・リエンツォの分析によると、プローディは、時々つっかえ、文法的に破綻した。突然、主語を変え、どもり、名詞と形容詞の性数が一致しないこともあった。

一方、ベルルスコーニは、たたみかけるようで、攻撃的な印象を与え、簡潔な構文を用いたが、にもかかわらず、とてつもない文法的誤りもおかした。

首相は、プローディを、言葉の量の面では打ち負かした。首相は、1012の見出し語を、変化させ、活用させ5749の形を用いたのに対し、プローディは、913語、5369の変化形を用いた。

ベルルスコーニは時に古風な、官僚的な語彙を用いたのに対し、プローディは意図的に、分かりやすい語彙を用いたようだ。

また、ベルルスコーニが io (私)という言葉を32回用いたのが目立つのに対し、プローディは noi (私たち)を60回用いている。ベルルスコーニは37回である。

二人が最も使用した単語は次の通り。

プローディ
Fare (する)   62回
Noi (私たち)  60回
Dovere(義務、~しなければならない)49回
Potere(権力、~できる) 47回
Dire (言う)  43回
Paese (国) 40回
Tutto (すべて) 32回
Volere (~したい) 31回
Governo (政府) 25回
Anno (年) 24回
Andare (行く) 20回
Cosa (もの) 17回
Fatto (事実) 17回

ベルルスコーニ
Dire (言う)  45回
Fare (する)  42回
Noi  (私たち) 37回
Tutto (すべて) 37回
Governo (政府) 36回
Io (私)       32回
Potere (権力、~できる)32回
Anno (年)     27回
Sinistra (左派)  26回
Volere (~したい) 25回
Fatto (事実)    24回
Loro (彼ら)    22回
Prodi(プローディ) 21回

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コメント

この研究結果、大変興味深いですね。
私も実際この中継を見ましたが、他の視聴者と同じような感想を持ちました。
ベルルスコーニの方が確実に討論上手(それだけでここまで昇りつめたから?)でしたが、いきすぎると独裁者のようにも聞こえてしまうような・・・。
対してブローディは口ベタだけれど人間味がある、正直な感じがしました。ベルルスコーニと違い、文章も簡潔でしたし。
外国人の私でもこの選挙の行方とても気になります。

投稿: akiko | 2006年3月25日 (土) 04時04分

そうですね。
言葉そのもの以外について言えば、声も対照的で、ベルルスコーニの方が張りがあって艶やかなのに対し、プローディはちょっとしゃがれ声でぼそぼそしてますね。
また、ジェスチャーでは、ベルルスコーニが人差し指を前にむけて威嚇的なしぐさをするのに対し、プローディは、両腕をひろげ、聴衆を迎え入れる感じがします(この仕種は、マウリツィオ・コスタンツォが指摘しているように、祭壇の前の神父のようです)。
動のベルルスコーニ、静のプローディとも言えるでしょうか。
本来、派手で、動のベルルスコーニ(イタリア最大の企業家でもある)が、イタリア経済を活性化できなかったところが最大の争点の1つかと思います。

投稿: panterino | 2006年3月25日 (土) 09時46分

女性誌によく載っている異性へのアプローチ法は、「私」ではなく、「私たち」といいましょう、というものです。主語を「私」にしてしまうと相手は「またあなたの話なの?」とうんざりしてしまうそうなのです。「私たち」というと「僕との共通点を見つけようとしてくれているんだ」と感じ、心を開いてくれるのだそうです。
このことからいくと、プローディのほうが、好感を持ってもらいやすい話し方ですね。言葉にしてもジェスチャーにしても、親しみやすそうな印象です。

投稿: azusa | 2006年3月25日 (土) 19時12分

なるほど。異性へのアプローチには、そういうコツがあったのですね。
プローディは、中道左派以外にも、中道右派の年配の女性(カトリックの相対的に熱心な信者が多い)の信頼も得つつあるようですが、こんなところにも秘訣が隠されているのかもしれませんね。

投稿: panterino | 2006年3月25日 (土) 23時32分

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