シャイー、スカラ座に帰る
指揮者リッカルド・シャイーが7年ぶりにスカラ座に、『リゴレット』で帰ってきた(コリエレ・デッラ・セーラ、1月20日)。
シャイーがスカラ座を振るのは、1999年の『セビリアの理髪師』以来という。
今回の『リゴレット』は、ムーティ指揮、ジルベルト・デフロ演出のものの再演で、キャストもほぼ同じ。リゴレットはレオ・ヌッチで変わらず。ジルダは、アンドレア・ロスト。マントヴァ公爵は、マルセロ・アルヴァレス。
最も目立つ変更は、acuto (高音)が帰ってきたことだ。『リゴレット』だけではないが、オペラのレパートリーでは、劇場の習慣として、クライマックスの部分などで、作曲家が楽譜に記した音よりも1オクターブ高い音で歌う習慣がある。これは、ソプラノであれ、テノールであれ、バリトンであれそうである。
シャイーは劇場の習慣にのっとり、アクートを復活するという。タイトル・ロールのリゴレットを歌うレオ・ヌッチは、400回もリゴレットを演じたのだが、「自分としては、高音を歌いう方が好きだ。しかしムーティには、高音を削除するよう頼まれた時には、絶対的敬意を示した。高音に反対したショルティの場合も同じだった。私は劇場では規律を愛するのです」とのこと。
シャイーは、客演は好きではなく、スカラ座への帰還は、いわば自分の家に帰ってきたようなものだと感じている。総監督のリスナーの期待通り、2006-7年のシーズンは、シャイーとゼッフィレッリの『アイーダ』で開幕だという。新しいコンセプトの『アイーダ』になるとのこと。2008年には、プッチーニ死後150年を記念して、『マノン・レスコー』を振ることが決まっている。
劇場で演奏を聴くと、アクートがないと拍子抜けすることがある。もちろん、演奏全体の流れや構成、役作りなどが絡んでいるから、それだけを楽しみにしているということはないのであるが、歌手の見せ場の一つであることは間違いない。1オクターブ高い方で歌うのが定着した曲は、それだけ高い音が聞き映えがするということではないだろうか。
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