バザーリア法とその見直し
イタリア研究会(1月19日)で、水野雅文氏の「イタリア精神医療の光と陰」という報告を聞いた。バザーリア法とその実践についての講演で、イタリアでは年末にバザーリア法の見直しが提起されたところである(コリエレ・デッラ・セーラ、2005年12月29日)。
水野氏の話は、論理明晰で、図表を効果的に用い、ところどころにソフトなユーモアをはさんで少しも退屈せず、それどころか大いにこちらの知的関心を刺激するもので、これまでの研究会の例会(といっても僕が出席できたものに限るわけだが)の中で、もっとも出席者からの質問が多かった。
フランコ・バザーリア(1924-1980)らの運動によって、イタリアでは、1978年5月13日に、精神病棟を閉じる法律(180号法)が制定された。これによって患者は、町に出て、グループホームや自宅、通院などによってケアを受けることになった。
ただし、水野氏のお話によると、グループホームの整備などの進展に、非常に大きな地域差がある。そのため、実際には、すべての精神病棟が閉鎖されるのは、2000年の末になったとのこと。
こうした努力もあって、精神病患者の平均入院日数は、日本が333日であるのに対し、イタリアでは、18,5日と桁違いに少ない。
また、イタリアでは、原則として家庭医を通じてから、病院へ行くのだが、精神病は例外で、家庭医をとばして、直接病院で治療を受けることが出来るのだという。
昨年末に、保健相のフランチェスコ・ストラーチェは、精神病患者を抱える家庭を支えるため、バザーリア法を見直したいと発言したのである。
野党の元保健相ロジ・ビンディは、法律を改正するよりも、法律にのっとって、ケアの体制を整えることが重要だと反論している。
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コメント
去年見た映画「輝ける青春La meglio gioventu'」(マルコ・トゥッリオ・ジョルダーノ監督)でも、このバザーリア法の施行前後の精神病患者の扱いが重要なテーマのひとつになっていました。ひとりの女性患者が主人公の人生に投げかける影の大きさ、深さがとても印象的でした。
投稿: Shibano | 2006年1月24日 (火) 12時58分
「輝ける青春」は長い長い映画で6時間6分もありますが、もとがテレビ用に製作されたためか、連続ドラマを一気に見ていると思えば、納得のいく長さでした。扱っている時代も、1960年代から、2000年代まででしたものね。僕は2004年のイタリア映画祭で見ました。
この主人公の一人ニコラが精神科医で、ジョルジャという女性患者がいました。彼女の投げかける影については、まさにおっしゃる通りだと思います。
実は、水野さんもイントロでこの映画を紹介していました。その関連で、世の中に流通している誤解をとくため、電気ショック療法の解説をしておられました。
電気ショック療法は、暴れてしまう患者に対する罰として加えられるまがまがしいものという印象があり、実際、過去においてはそういう実施のされ方もあったようです。
しかし、本来は、鬱病などで、他の薬が効かないのに電気ショック(電気で痙攣発作を起こす)が効く人がいるそうです。
現在では、ちゃんと麻酔医が麻酔をして、本人には記憶(トラウマ)がなく、無痙攣の治療行為だとのことです。
投稿: panterino | 2006年1月24日 (火) 14時53分
はじめまして。
以前からバザーリア法について書かれた記事を探していたので、こちらを読んで、わからなかったことがやっとスッキリし、納得いたしました。
ぜひこちらの記事を私の「輝ける青春」記事のほうに参考urlとして貼らせてください!
またブログリンクさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?
投稿: マヤ | 2006年2月 3日 (金) 22時45分
はじめまして。
お役に立ててうれしいです。
URLおよびブログリンク、どうぞ。
投稿: panterino | 2006年2月 3日 (金) 23時23分
すすスミマセン、うまくいかずに何回かTBしたらダブってしまいました。1つ削除くださいませー。
また、本文中にも参考ブログとしてURL貼らせていただきました!
投稿: マヤ | 2006年2月 5日 (日) 22時17分
了解しました。
投稿: panterino | 2006年2月 6日 (月) 11時43分