ポリーニのショパン夜想曲全集
マウリツィオ・ポリーニのCD「ショパン夜想曲全集」が、2005年10月に発売されたにもかかわらず、2005年クラッシク部門で最高の売り上げを記録した(コリエレ・デッラ・セーラ、1月7日)。
ポリーニはそもそもワルシャワのショパン・コンクール優勝で世界的に名を知られるようになった人であり、ショパンをリサイタルでも演奏し、レコード録音もしていたが、何故か夜想曲のレコードは録音していなかった。
僕にとって個人的には、ポリーニの弾くショパンの練習曲というのは衝撃的なレコードであった。それまでの、サロン風のイメージを吹き飛ばし、アポロン的な彫琢を示す音楽は、ショパン像を大きく塗りかえた。
今回の夜想曲全集(遺作も含め19曲)は、ポリーニもまさに円熟味をまし、ショパン像も、ゆったりとした、甘い心地よさがあり、多くの人に愛好されることは疑いない。
ただし、ポリーニ自身は、(ショパンのピアノ音楽の素晴らしさは言うまでもないことだが)、去年、来日した折りのコンサートのプログラムで示しているように、20世紀の音楽(ノーノ、ブーレーズ、シュトックハウゼンなど)をもっともっと多くの聴衆に聴いてほしいと思っていることだろう。
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