BPIの株価不正操作疑惑が、政界を揺るがしている。Tangentopoliの再来では、と怖れられてられているのだ(コリエレ・デッラ・セーラ、12月15日)。
イタリア国民銀行(BPI)のフィオラーニ逮捕にとどまらない拡がりを見せているこの事件、コリエレ・デッラ・セーラでは、一面の見出しのほか、2面から11面まで、広告をのぞき、すべてがBPI事件で埋まっている。
捜査の進展は、政界を揺るがしている。中道右派、中道左派を問わずにである。1990年代にイタリア政界に激震を走らせた Tangentopoli および Mani pulite (日本では何故か英訳でクリーン・ハンド作戦などと訳されていた)と呼ばれる汚職事件およびその捜査で、政界から逮捕者が続出したことを連想せずにはいられないようだ。
政界では、下院の左翼民主(党)の集まる部屋でも、逮捕されたフィオラーニの名が何度も、繰り返され、禁煙であるのも忘れて、神経質にポケットの中の煙草をさぐるものもいたという。
左翼民主(党)の書記長ファッシーノは、この問題にうんざりし、神経質にもなっているようで、記者に対し、「何も心配することなどない」と言い放っている。中道左派が気にしているのは、Unipol(保険会社)のジョヴァンニ・コンソルテが捜査対象となるかどうか、ということらしい。たとえ、捜査対象となった場合でも、それはあくまで、個人的なものであって、党とは無関係ということが確認されている。
一方、フィオラーニ事件で、捜査をうけた政治家はすべて中道右派である。こちらは、いっそう息苦しい雰囲気につつまれている。フォルツァ・イタリア党のある下院議員は、事情によく通じており、「フィオラーニは、もう15キロもやせたんだ」とか、「彼は、ぺらぺら、しゃべりまくっているぞ」と同僚議員に知らせている。
上院議員のカルロ・ヴィッツィーニは、「これは、選挙前の検察官からのクリスマス・プレゼントだな」。
北部同盟の連中は、肩をすくめてはいるが、心配そうに下院の廊下を行き来しているという。
ベルルスコーニは、自分は関係ないので不介入という立場のようだ。しかし、現在明らかになっているのは、「氷山の一角」という見方も示している。
しかしながら、フォルツァ・イタリア党のミケーレ・サポナーラのように「Tangentopoliとは違うよ。ディ・ピエトロもいないしね。(予審判事の)フォルレオを知ってるやつは、彼は優秀だが、少しひょうきんものだって言うじゃないか」という評価もある。
追記:Shibanoさんのご指摘をうけ、mani puliti(筆者の勘違いでした)を mani pulite と訂正いたしました。ご指摘ありがとうございました。
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