カンフォラの歴史書、ドイツで出版停止に
イタリアの歴史家ルチャーノ・カンフォラの『民主主義、あるイデオロギーの歴史』がドイツの出版社ベックと出版の契約まで交わしながら、内容を理由に出版停止の決定をくだしたことが、一つの事件となっている(コリエレ・デッラ・セーラ、11月18日)。
この「事件」はドイツでも各紙で取り上げられた。この本はフランスの著名な歴史家ジャック・ル・ゴフ監修のシリーズ「ヨーロッパを形成する」の一冊をなす予定だったもの。このシリーズには、各国の出版社、イタリアのLaterza, フランスのSeuil, イギリスのBlackwell, スペインのCritica,そしてドイツのBeckの五社が参加している。
出版社側は、カンフォラがスターリンの犯した犯罪的行為を軽視しているなどの理由をあげているが、カンフォラは反論している。
たとえば、ベックの編集責任者のDetlef Felken はカンフォラがナチスとソ連によるポーランド分割を「神話」と規定していると非難するが、カンフォラは、自分は、「今から振り返って、ポーランド分割を神話化するのは簡単だ」と書いたのだ、と弁明している。
また、Felken はカンフォラがソ連の憲法を肯定的に評価していることに強い疑問を感じているが、カンフォラによればソ連の憲法には素晴らしい点があったのだが、それが実際に適応されなかったのが問題なのだ、と反論している。
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