イタリアで増える不規則雇用
コリエレ・デッラ・セーラの10月6日のローマ版によると、ローマでは、非正規雇用が増えているという。非正規雇用というのは、正社員ではない雇用で、官僚の側は lavoro atipico (非典型的労働)と呼び、労働組合は、lavoro precario (不安定な労働)と呼ぶ。
実際、これは労働組合の保護もなく、最低6時間の労働で日当が35ユーロ前後というものだという。
ローマで働く人は107万5000人、その中で非正規雇用は約24万人、闇労働は少なくとも15万5000人いるという。約4分の1が、不安定な雇用ということになる。
ところが、この不安定な雇用の比率は急激に増加している。2004年前半にローマで労働市場に新たに参入した人は7万9千人で、そのうち2万2千人が不安定雇用で、その比率は28パーセントだったのに対し、2005年前半に労働市場に参入した人は10万2800人でそのうち4万8500人が不安定雇用で、その比率は47パーセントにのぼるのだ。
これには、明るい面と暗い面がある。明るい面は、こうした一時的な雇用のおかげで、ローマは全国平均に較べ失業率が低い(全国平均が8.1パーセントに対し、ローマは7.2パーセント)。しかしながら、暗い面として、この雇用は長期雇用を保障するものではないし、さまざまな労働者の権利が保障されていないことがあげられよう。
こうした雇用は、行政も行っており、ローマでは8万5000人にもおよぶという。
日本でも、周知のごとく、派遣や嘱託職員という形で、正社員の数をへらし、パートタイマーを増やすということが、多くの会社で行われている。
日本では、団塊の世代の大量の定年退職により、正社員の雇用も増える見込みであるというが、パートタイマーに関してこそ、将来の年金がどうなるのかが問題であろう。
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