アリオダンテ
先週の金曜日、アリオダンテ(ヘンデル)を東京文化会館で観た。ヘンデルの本格的なバロック・オペラを観るのは僕ははじめてであり、来日する引っ越し公演のオペラでバロック・オペラを上演するのは非常に珍しいと思う。
バロック・オペラが珍しいのは、単純に、お客が入るかどうかが不安定だからで、いわゆるレパートリーに入っている「椿姫」や「ドン・ジョヴァンニ」の方が、集客が確実に読めるからだ。
その点で、今回のバイエルン・オペラを招聘した佐々木忠次氏の勇気に敬意を表したいと思う。
さて、演奏内容ですが、僕は楽しめた。まず、ヘンデルの曲づくりのうまさがあってのこと。明るいメロディ、しんみりとしたメロディ、早い曲、ゆったりとしたテンポの曲の組み合わせがたくみ。
さらに、指揮者のボルトンは非常にきびきびとしたテンポ。叙情的なアリアで、歌手はもっとたっぷりと歌いたがるようなところでも、テンポを落とさず。僕はそこを評価したい。歌手の歌いたいようにテンポを落とすと、曲の前へ前へと進む推進力が弱まって、ある感情に浸ることになる。曲全体がそれを求めているような場合はそれでよいのだが、往々にしてそうではない。
ストーリーは、僕が読書会で読んでいて(現在、先生が療養中のため中断しているのだが)、イタリアでは非常に有名な叙事詩「オルランド・フリオーゾ(狂えるオルランド)」からとったエピソード。
「オルランド・フリオーゾ」は名古屋大出版局から二巻本で翻訳出ています。強いて言えば、「平家物語」みたいなものなんだけど、エピソードがあちこち飛んで、Aの話をしていたかと思うと、Bの話になって、しかもいろんな怪獣とか出てきて、その怪獣から美女を救いだす騎士の物語とかあって愉快な物語ですよ。
さて、この「アリオダンテ」は宮廷の相思相愛のカップル(アリオダンテとジネーヴラ)に横恋慕するやつ(ポリネッソ)がいる。このポリネッソはイヤーゴのように、策略を用いて、アリオダンテにジネーヴラが浮気をしていると思わせる。ポリネッソに思いをよせる女官ダリンダにジネーヴラの衣装を着させて、ポリネッソといちゃつくところをアリオダンテに目撃させ、誤解させるというわけである。
アリオダンテを歌う歌手をはじめ、主役四人が皆、高い声である。きっと当時は、カストラートがいたから、高い声でも、男女の別ははっきり判ったのでしょう。アリオダンテ(男の役)はアルトのアン・マレイが歌い、ポリネッソ(男の役)はカウンターテナーが歌っていた。
演出上、出来れば、もう少し、演じる役柄の男女がはっきりと判るようにしてほしかった。髪の長さの違いとか、服装にめりはりをつけて。(声は、女の人が多いので、まぎらわしいのです。また、東京文化会館は広い劇場ですから、舞台まで距離のある人もいますし)。
アン・マレイは姿勢や仕草がどうもおばさんくさいところがあって、コロラトゥーラの切れもいまいちで、タイトル・ロールとしてはちょっと、という感じ。カウンター・テナーもあきらかに声の調子は良くなかった。
しかし、オーケストラのテンポはぐいぐいと前へ進んで行くので、退屈はしない。さらに、PAを用いているから、普通なら蚊の鳴くような音でしか聞こえないチェンバロの表情づけがはっきりと判り、指揮者の意図、曲想のとらえ方が明確に観客に伝わったと思う。PAの音自体はもう少し小さくても良かったとは思うが。
全体としては、ヘンデルのオペラ、結構面白いなあ、と楽しめました。会場には、永竹さん、堀内修さん、壇ふみさん、楽天の三木谷さんなどを見かけました。
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投稿: みんなのプロフィール | 2005年10月10日 (月) 23時55分